ペルシャ絨毯の購入ガイド:本当に確かめたいポイント
手結びのペルシャ絨毯は、何十年にもわたって暮らしをともにできる存在です。ただしそれには、素材、サイズ、品質、使い方がうまくかみ合っていることが前提になります。そして、まさにここに購入の難しさがあります。見た目がよく似た2枚の絨毯でも、産地、仕上げ、耐久性、価格がまったく異なることがあるのです。
そのため、ペルシャ絨毯の購入を考えているなら、柄やノット数だけで決めないようにしましょう。それよりも大切なのは、産地、素材、仕上げ、状態、そして絨毯を敷く予定のお部屋、これらの組み合わせです。
この購入ガイドでは、選ぶときに本当に大切な判断基準をご紹介します。
本物のペルシャ絨毯とは?
本物のペルシャ絨毯は、かつてペルシャと呼ばれた現在のイランでつくられたものです。つまり、この呼び名がまず示しているのは産地であって、特定の柄ではありません。
この点が、ペルシャ絨毯とオリエンタルラグを分けるポイントです。「オリエンタルラグ」は、イラン、アフガニスタン、インド、パキスタン、トルコ、コーカサスなど、さまざまな地域でつくられる伝統的な絨毯をまとめて指す言葉です。
ですから、「ペルシャ風のデザイン」の絨毯だからといって、ペルシャ絨毯であるとは限りません。本物の産地にこだわるなら、製造国がはっきりと示されているかどうかを確かめてください。
また、伝統的なペルシャ絨毯は、一本一本手で結ばれていることがよくあります。柄や色、形にわずかなばらつきがあっても、まったく珍しいことではなく、手づくりの絨毯ならではの個性の一部です。
手結びか機械織りか:違いはどこで見分けられますか?
手結びの絨毯では、パイル糸が1本ずつ手で経糸に結びつけられています。こうした手間がかかることが、上質な手結びのペルシャ絨毯が工場で生産されたラグよりかなり高価になりうる、大きな理由のひとつです。
そのため、購入の際には裏側も見ておくことをおすすめします。手結びの絨毯なら、ふつうは裏側でも柄がわかり、結び目のひとつひとつが見えることもあります。
フリンジも手がかりになります。伝統的な手結びの絨毯では、フリンジは経糸がそのまま延びたものであることが多く、絨毯の基本構造の一部になっています。一方、機械織りのラグでは、フリンジが後から取りつけられていることがあります。
ここで注意したいのは、機械織りのラグが、それだけで質の悪いものとは限らないということです。単に製品のカテゴリーが違うだけです。大切なのは、製法と産地が正しく表示されていることです。
ウールかシルクか:どちらの素材が合うのでしょうか?
素材を選ぶときに問うべきなのは、「どちらの素材のほうが価値が高いか」ではなく、「自分の使い方に合うのはどちらの素材か」ということです。
ウールのペルシャ絨毯
ウールは、ペルシャで絨毯を結ぶときに古くから使われてきた代表的な素材です。上質なウールラグは、やわらかさ、弾力、あたたかさに加えて、丈夫さも兼ね備えることができます。
そのため、リビングやダイニングなど、ふだんからよく使うお部屋には、多くの場合、ウールのほうが実用的です。
シルクのペルシャ絨毯
シルクラグは、とりわけ細やかな柄と、エレガントな表面の仕上がりを可能にします。繊維が光を反射するため、見る方向によって色や柄の見え方が変わることがあります。
その一方で、シルクは強い摩擦や負荷に弱い素材です。そのため、上質なシルクラグは、人の出入りが多い玄関のすぐそばよりも、落ち着いた居住スペースに敷くほうが向いています。
ウールとシルクを組み合わせたものも多く見られます。ウールが丈夫さを担い、シルクは一部の装飾や輪郭を際立たせることができます。
ノット密度が高ければ、必ずよい絨毯なのですか?
いいえ。ノット密度は品質を示す大切な目安ですが、過大評価されがちでもあります。
結び目の数が多ければ、より細い線や細かな柄を表現できます。そのため、都市の工房でとても細かく結ばれた絨毯では、大きな意味をもつことがあります。
これに対して、伝統的なギャッベや遊牧民のラグは、あえて粗めにつくられています。結び目の数が少ないというだけで質が劣ると判断するのは誤りです。
ですから、ノット密度は必ず、素材、産地、柄、仕上げ、絨毯の種類とあわせて判断してください。
よいペルシャ絨毯に、できるかぎり多くの結び目が必要なわけではありません。大切なのは、その種類のなかで質よく仕上げられていることです。
ペルシャ絨毯にはどんな種類がありますか?
ペルシャ絨毯の多くは、つくられた都市や地域、あるいは結びの伝統にちなんだ名前で呼ばれています。こうした名前は、柄や配色、素材、仕上げの典型的な違いを整理する手がかりになります。
- タブリーズラグは、細部まで緻密に描き込まれたものが多く、古典的な花の装飾や中央のメダリオンが見られることもあります。
- カシャーンラグは、メダリオンを中心にした構図、つる草模様、存在感のあるボーダーが特徴で、多くはひときわクラシックな印象を与えます。
- ナインラグは、クリーム、ベージュ、ブルーの色合いでまとめられていることが多く、より上質なものには、ウールとシルクを組み合わせたものもあります。
- イスファハンラグは、多くの場合、精密な花柄と左右対称の構図、そしてとりわけ優雅な雰囲気が特徴です。
- クムラグは、とても細かく結ばれていることがあり、手の込んだシルクの絨毯などでも知られています。
- 丈夫さをより重視するなら、ビジャーラグが候補になります。目の詰まったしっかりとした構造のおかげで、多くがきわめて丈夫です。
- ハマダンラグは、幾何学模様や図案化された花柄が多く、いきいきとした伝統的な雰囲気をもっています。
- ぐっとシンプルな個性をもつのが、ギャッベです。しっかりとしたウール、広い色面、簡潔なモチーフが、モダンなインテリアにとりわけ取り入れやすい魅力になっています。
- また、遊牧民ラグにも、幾何学模様や自由なデザインのものが多く見られます。こうしたラグでは、小さな不ぞろいが必ずしも品質の問題とは限らず、伝統的なつくり方の一部であることもあります。
上質なペルシャ絨毯は、どこで見分けられますか?
ひとつの特徴だけに頼らないようにしましょう。上質な絨毯は、いくつもの要素が組み合わさって生まれるものです。
まずは素材を確かめてください。よいウールは、さわり心地がよく、同時にへたりにくい強さも備えているはずです。シルクの場合は、素材の表示が明確であることが大切です。
次に、表と裏の両方を見てください。構造がしっかりしていること、端が傷んでいないこと、修理の跡があればはっきりと示されていることが大切です。
パイルの状態にも注意しましょう。パイルの大きなすり減り、穴、虫食い、絨毯の土台そのものの傷みは、見た目の小さな不ぞろいよりはるかに重要です。
柄の描かれ方も手がかりになります。目の細かい絨毯なら、曲線や装飾、輪郭がきれいに表れているかどうかから、どれだけ精密に結ばれたかがわかります。
一方で、手結びの絨毯に、工業製品のような完璧な対称性を期待するのは禁物です。小さな違いは、むしろ手仕事のしるしであることもあります。
ペルシャ絨毯の価格はどのくらいですか?
ひと言で答えることはできません。まったく同じサイズの2枚でも、価格が大きく異なることがあります。
価格を左右するのは、産地、素材、サイズ、ノット密度、かかった手間、年代、状態、希少性、そして職人技の質などです。
そのため、小さくてもとりわけ細かく結ばれたシルクラグのほうが、それよりはるかに大きなウールラグより、ずっと高価になることもあります。
とはいえ、購入する方にとっては、別のポイントのほうが大切です。いちばん高価な絨毯が、お部屋にとっていちばんよい絨毯とは限りません。
デリケートなシルクラグは、職人技として並外れたものであっても、家族で毎日よく使うリビングには向かない選択になることがあります。
ですから、価格を比べるときは、品質、産地、素材のグレードが同じくらいの絨毯どうしで比べてください。
新品、ヴィンテージ、それともアンティーク?
新品のペルシャ絨毯は、状態を把握しやすく、商品情報も明確で、一般に傷みも少なめです。日常的によく使う絨毯であれば、これは利点になりえます。
ヴィンテージラグは、すでに年月を経た風合いをまとっています。やわらかな色合いのおかげで、モダンなインテリアにもとりわけ美しくなじむことがよくあります。
アンティーク絨毯になると、評価はさらに難しくなります。古いというだけで価値があるわけではありません。状態、希少性、産地、修理の有無、来歴も、少なくとも同じくらい重要です。
おもにご自宅に敷く美しい絨毯を探しているなら、値上がりの可能性よりも、実際の使いやすさとデザイン面での魅力を重視しましょう。
どのお部屋に、どんなペルシャ絨毯が合いますか?
選ぶときは、まず敷く場所から考えるのがおすすめです。
毎日よく使うリビングラグには、ウールが適していることが多いです。さらに、ソファやいすの配置、通り道、家具の位置も決め手になります。
ダイニングでは、いすを後ろに引いても、できるだけ脚が絨毯からはみ出さない大きさが理想です。小さすぎる絨毯は、ここではとくに不便です。
寝室は踏まれる負担が少ないため、目の細かい絨毯やデリケートな絨毯も選択肢に入ります。
一方、廊下や玄関には、しっかりした構造の丈夫なウールラグがおすすめです。デリケートなシルクラグは、人の行き来が多い場所には、たいてい不向きです。
ペルシャ絨毯は、どのくらいのサイズを選べばよいですか?
絨毯選びでとくに多い失敗のひとつが、小さすぎるサイズを選んでしまうことです。
ですから、注文する前に敷く場所を正確に測り、商品写真だけを頼りにしないでください。
リビングでは、家具をすべて絨毯にのせる、家具の前脚だけをのせる、ローテーブルだけをのせる、といった置き方があります。大切なのは、絨毯とソファまわりが、見た目にひとつのまとまりになっていることです。
ダイニングテーブルの下に敷く場合は、さらに、いすを引くためのスペースも考えておく必要があります。
長方形のほかに、間取りによっては円形のオリエンタルラグが向いていることもあります。たとえば、丸いダイニングテーブルの下や、小さめのくつろぎスペースなどです。
ペルシャ絨毯をオンラインで買うとき:気をつけたいポイント
オンラインでの購入には、大きな利点があります。サイズ、デザイン、価格をとても簡単に比べられることです。
その反面、素材や手ざわりをその場で確かめることはできません。
そのため、きちんとした商品ページであれば、産地、素材、製法、サイズ、状態についての正確な情報が載っているはずです。全体がわかる写真と、細部がよくわかる写真がそろっていることも、同じくらい大切です。
古い絨毯の場合は、修理の跡、パイルのすり減り、そのほか気になる使用の跡が、わかりやすく説明されていることが大切です。
また、画面や照明によって、色の見え方が変わることにもご注意ください。ウール、とくにシルクの場合は、見る方向によっても色の印象が変わることがあります。
チェックリスト:購入前に答えておきたい質問
- その絨毯は、本当にイランでつくられたものですか?
- 手結びですか、それとも機械織りですか?
- どんな素材が使われていますか?
- その素材は、お部屋での使われ方に合っていますか?
- サイズと形は、お手持ちの家具に合っていますか?
- パイル、フリンジ、両サイドの端は、どんな状態ですか?
- 修理の跡、シミ、虫食い、ひどい変色はありませんか?
- 産地や商品の特徴は、わかりやすく説明されていますか?
- 状態がよくわかる写真がそろっていますか?
- 返品条件やカスタマーサービスの内容は明確ですか?
- 素材、仕上げ、状態からみて、価格は納得できるものですか?
ペルシャ絨毯の購入についてよくあるご質問
本物のペルシャ絨毯は、どう見分ければよいですか?
本物のペルシャ絨毯は、イランでつくられたものです。手結びのものであれば、さらに裏側、結び目、フリンジ、素材、手仕事による小さな不ぞろいが、どのようにつくられたかを知る手がかりになります。
ウールとシルクでは、どちらがよいですか?
使い方しだいです。日常的に使うお部屋には、たいていウールのほうが丈夫で、普段使いにも向いています。シルクは、とても繊細なデザインや、あまり踏まれない場所にとくに適しています。
結び目は多いほどよいのですか?
いいえ。ノット密度が高ければより細かな柄を表現できますが、それだけでは品質の証明になりません。素材、仕上げ、産地、絨毯の種類も同じくらい大切です。
とくに丈夫なペルシャ絨毯はどれですか?
密に結ばれたウールラグは、たいてい頻繁に使う場所にもよく向いています。たとえばビジャーラグは、目の詰まったしっかりとした構造で知られています。
小さな不ぞろいがあるのは、普通のことですか?
手結びの絨毯であれば、はい。形や柄、色合いのわずかなずれは、手仕事の一部であることがあります。ただし、構造上の傷みや雑な仕上げとは区別して考える必要があります。
まとめ:使い方とお部屋を決めてから、ペルシャ絨毯を選びましょう
ぴったりのペルシャ絨毯が、いちばん目が細かいもの、いちばん高価なもの、いちばん密に結ばれたものとは限りません。
まずはお部屋から考えましょう。絨毯はどのくらいの大きさが必要ですか?どのくらい踏まれますか?どんな素材なら合いますか?インテリアに長く合う色や柄はどれですか?
ノット密度、産地、仕上げ、価格を比べるのは、そのあとにしましょう。
たとえば、よく使うリビングスペースには、デリケートなシルクラグより上質なウールラグのほうが、よい選択になることがあります。一方、落ち着いたお部屋なら、とりわけ繊細に仕上げられた絨毯こそが、その魅力を存分に発揮できます。
産地、品質、素材、サイズ、使い方がうまくかみ合ったとき、手に入るのは、ただきれいなだけのペルシャ絨毯ではありません。この先も長くお住まいになじむ一枚です。
